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統合失調症の病態解明(心の病ではなく脳内の異常)に前進

〜慶応大、大脳の神経細胞が正しく配置されるメカニズムを発見〜

2012年10月

慶應義塾大学医学部の仲嶋一範教授らが、
大脳皮質が形成される時に、神経細胞が正確に配置されるメカニズムを明らかにした。
ヒトをはじめとする哺乳類の大脳皮質は
神経細胞が規則正しく配列した6層からなる層構造を持っている。
この層構造の乱れが、発達障害や統合失調症などの
様々な精神疾患の発症に深くかかわっていることが知られている。

今回の研究では、リーリンと呼ばれる、
神経細胞が移動を終了する地点付近に存在する細胞外タンパク質に注目。
リーリンの異常は滑脳症(脳のしわが少なく、正常よりも平滑になる疾患)の原因の1つであり、
統合失調症や自閉症との関連も知られている。
リーリン欠損マウス(自然発症の突然変異マウスであり、歩行障害やふるえを特徴とする)
においては、大脳皮質の層構造がおおむね逆転してしまうことから、
リーリンが神経細胞の移動に大切であることがわかっていたが、そのしくみは不明だった。

そこで、移動途中にある神経細胞における
様々な分子の機能を子宮内電気穿孔法と呼ばれる手法で解析した結果、
リーリンが移動神経細胞のインテグリンα5β1という接着分子を正しいタイミングで活性化することで、
移動の最終段階を制御することを明らかにした。

つまり、リーリンのシグナルを受け取ると、神経細胞は伝わってきた線維から離れて
インテグリンα5β1を用いて自らの体を持ち上げ、移動の最後の仕上げ
(ターミナルトランスロケーション)を行いつつ、移動を終了することが分かった。

脳の深部で生まれて次々に脳表面に向かって移動してくる神経細胞は、
脳の表面近くでこのしくみを使って次々に目的地に到達できるため、
最終的に正しい層に配置されると考えられる。
実際に、インテグリンα5β1の活性化が正しく行われないと、
予想通り神経細胞の配置パターンが異常になることを見いだした。

慶応義塾大学プレスリリース

 

【一言コメント】
大脳皮質の層構造の乱れは、統合失調症などの精神疾患発症に深く関わりを持っています。
今回の研究で、リーリンと呼ばれる細胞外タンパク質が
移動神経細胞のインテグリンα5β1という接着分子を正しいタイミングで活性化することで、
最終的に正しい層に配置されると考えられることが明らかになりました。

未だ “心の病” であると思われている精神疾患ですが、
脳内神経伝達物質のバランスの乱れや脳機能の異常であることが医学的に証明されています。
今回の発見で、統合失調症などの精神疾患の病態解明に一歩前進しました。

 


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