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じっくりと考えた後の失敗こそが学習を促進する 〜「早とちり」の弊害をネズミ試験で検証 〜

2018年6月

東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らの研究グループは、ライト点灯
の位置を参考にしながら2つの選択肢から正解を選ぶという二択課題をラットに
行わせ、学習速度の個体差を決定する要素を探索しました。その結果、誤選択
までの時間が長い(つまり、熟慮後の失敗が多い)ラットは好成績を残すこと
を見出しました。

常に変化する環境にうまく適応するためには、柔軟な判断や意思決定を行う
ことが必須です。そのためには、1)決定の適切さ、2)決定の迅速さ、の
少なくとも二つの要素が重要です。しかしながら、実社会では、素早く下した
結論が正しいとは限らないなど、2つの要素は必ずしも両立するとは限りません。
そこで、両要素のどちらが学習成立により重要かを調べるために、同研究グルー
プは、光の手掛かり刺激を活用して2つの選択肢から正しい方を選択させる
課題をラットに解かせました。

ラットが選択するまでの時間(反応潜時)を測定し、各ラットの学習成績との
関係を解析した結果、学習成立前の反応潜時が短い、つまり結論に早く飛びつい
てしまうラットほど、課題の学習成立が遅くなることを見出しました。とくに
誤った選択をする場合にこの傾向が強く観察されました。また、学習過程におけ
る正解(つまり、偶然の成功)の回数は、学習速度とは無関係でした。

同研究により、成功体験そのものよりも、じっくりと時間をかけて考慮したうえ
で失敗するほうが、学習の成立にとって重要であることが示されました。本研究
成果は、生物の生存戦略を考える上での根本的な知見となるだけでなく、動物の
個性を生み出す脳のメカニズムを解明する一端となることが期待されます。

 

Answering Hastily Retards Learning
Yosuke Yawata, Kenichi Makino, Yuji Ikegaya
PLOS ONE 2018年4月25日掲載

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