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2017年10月
理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター記憶神経回路研究チームの
ジョシュア・ジョハンセンチームリーダー、植松朗研究員、バオシェン・タン研究員らの国際共同研究グループは、
ラットを用いた研究により、
恐怖条件づけ学習とその消去学習には異なるタイプのノルアドレナリン[1]神経細胞群が重要であることを発見したと発表した。
幼い頃、遊びに夢中になったあげく迷子になって、
怖い思いをしたことがある人もいるのではないか。
恐怖体験を記憶することは危険の予知などにつながる。
一方で、成長するに伴い恐怖記憶が不要になると、
消去学習という新たな学習により記憶が上書きされ、恐怖記憶は弱まる。
生物学的実験で、恐怖を誘発しない音をラットに提示した後に、
恐怖体験として軽い電気ショックを脚に与える訓練を行うと、
ラットは音によって電気ショックの到来を予測することを学習し、
音に対してすくみ反応〔2〕という恐怖反応を示すようになる。
これを恐怖条件づけ学習といい、
その後音のみを繰り返し提示すると、音に対するすくみ反応は徐々に減少していく、
これを消去学習という。
これら二つの学習には、脳幹にある青班核という脳領域から分泌される
神経伝達物質のノルアドレナリンが重要であることが分かっている。
これまでの定説は、青班核ノルアドレナリン神経の神経細胞群は全て均一で、
脳の各領域に一様に分布し、音などに対して一様の反応をするというものであった。
しかし、ノルアドレナリン神経の働きはよく分かっていなかった。
今回、研究グループはラットを用いて、二つの学習時における青班核アドレナリン神経の役割について調べた。
その結果、
現在、不安障害などの精神疾患に対して、ノルアドレナリンを標的とした治療薬が使用されている。
今後、今回発見した二種類のノルアドレナリン神経細胞に特異的な遺伝子マーカーを同定し、
選択的に標的とすることができれば、より効果的な治療法の開発につながると期待できると述べている。
ノルアドレナリン神経の多様性を発見−恐怖記憶とその消去には異なるノルアドレナリン神経が関与−