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2017年1月
このたび厚生労働省から、
「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に関わる使用上の注意」に関する薬剤添付文書記載の改訂が発表された。
対象となるのは、ミルナシプラン、 デュロキセチン及びベンラファキシンの
抗うつ薬 3 剤(いずれもセロトニンノルアドレナリ ン再取り込み阻害薬:SNRI)である。
今回の改訂により、記載注意事項が、
「眠気,めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること」
から、
「眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。
また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること」
に変更された。
これを受け日本精神神経学会等4学会は、
2016年12月に合同で声明を発表し、今回の改訂は大いに評価できるとした一方で、
改訂後の薬剤添付文書記載も運転に影響しないことを無条件に保証している訳ではないと注意を喚起している。
これまでは、病状や服薬開始時期にかかわらず、服薬中の患者全てに運転中止を求めざるを得なかったが、
多くの患者が症状改善と再発予防のために向精神薬の服薬継続が不可欠であり、
一部の大都市を除けば、自動車運転なしには日常生活や就労が成り立たないのが我が国の現状である。
そのため4学会は注意事項の改訂を要望し、関連省庁と意見交換をしていたと述べ、
今回の改訂は欧米の記載に近い、現実に即した内容となったと評価している。
だが、向精神薬がもたらす影響には個人差が存在することも忘れてはならない事実であり、
これらの薬剤を処方する医師は、以下の諸点に留意する必要があるとしている。
4学会は、今回の改訂は患者の社会生活を中心に据えた議論が結実した最初の一歩であるとし、
以降も向精神薬と運転技能に関する添付文書記載の在り方について議論を継続し、
教育、情報提供、科学的検討を行っていく予定であると述べている
このような改訂により、患者の社会生活を妨げずに投薬治療を続けることが可能になり、
患者の症状改善やQOL向上に役立つことが期待される。
ミルナシプラン、デュロキセチン及びベンラファキシンの
「自動車の運転等危険を伴う機械の操作に関わる使用上の注意」添付文書記載改訂に関する声明