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2007年12月
過労が原因でうつ病を繰り返したにもかかわらず労災が認められないのは不当として、総合卸売商社に勤務していた札幌市の男性(56)が国に、休業補償と療養補償の不支給処分取り消しを求めた訴訟の判決が札幌地裁であった。中山幾次郎裁判長は「長時間勤務などによる心理的負荷(過労)が原因で発症。2回目以降の発症も同じ過労が原因」として、国に不支給処分を取り消すよう命じた。
原告代理人の伊藤誠一弁護士は、うつ病の再発について「最初の発症は後々にも影響すると認定した判決は珍しい。うつに関する労災認定に与える今後の影響は大きい」としている。
判決によると、男性は1974年に入社。残業が月120時間を超えていた88年にうつ病を発症し休職。約2ヶ月後に職場復帰したが、92年と95年に再発し、97年に会社側より退社通知を受けた。99年に雇用確認を求める訴訟を起こし、2001年に示談が成立して退社。また、国に対し休業補償と療養補償の支払いを求めたが、札幌中央労働基準監督署は96年、2000年に退けていた。
1974年 |
入社 |
1988年 |
うつ発症による休職。約2ヶ月後、職場復帰 |
1992年 |
うつ再発 |
1995年 |
うつ再発 |
1996年 |
札幌労基署に労災申請 (棄却) |
1997年 |
会社側より退社通知 |
1999年 |
雇用確認を求める民事訴訟 |
2001年 |
示談成立、退社 |
2002年 |
札幌労基署に再度、労災申請 (棄却) |
2005年 |
休業補償などの不支給処分取り消しを求め提訴 |
2007年 |
不支給処分取り消し決定(労災認定) |
行政関連 | 民事関連 |
平成11年度に策定された厚生労働省指針では、「うつ病は一般的には半年から1年程度の治療で治癒する病気。労災認定に関しては発症のたび別個に業務起因性を判断する」としており、国も同様に主張したが、中山裁判長は、「別個に判断することは再発しやすいうつ病の性質と相容れない」と判断。その上で、「最初の発症が仕事によるものだと認定されれば、2度目以降の発症時に仕事上の心理的負担が少なかったとしても、原因は仕事と認めるべきだ」述べている。
【一言コメント】
「再発を繰り返しやすいうつ病の性質」を汲み取り判決が下った珍しい例。
企業は初めての発症時だけでなく再発防止に努めるべきです。
初回発生時と類似の兆候を見逃さないよう、早期発見・早期対処を心がけるようにしましょう。
具体的に、「再発を防止するためにはどのようなことを注意すべきか?」
等、対応方法に困った際には、是非弊社のEAPマニュアルをトライアルしてみてください。