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2018年4月
理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター精神生物学研究チームの
内匠透シニアチームリーダーらの国際共同研究グループは、
マウスを用いて、脈絡叢が、中枢時計を司る視交叉上核よりも
堅固な概日リズムを刻むことを発見しました。
私たちの体には、
約24時間周期でさまざまな体内現象のタイミングを調節している
「体内時計」というメカニズムが存在します。
体内時計はホルモンの分泌や代謝、睡眠リズムといった
「概日リズム(1日を周期として起こる体内環境の変動)」を制御しています。
概日リズムに異常が起きると、時差ボケや睡眠障害などの
リズム障害を引き起こすだけでなく、がんや生活習慣病、精神疾患を
引き起こす要因にもなると考えられています。
概日リズムはほぼ全ての生物に存在する基本的生命現象であり、
ヒトを含む哺乳類においては、さまざまな生理機能を制御しています。
哺乳類の時計中枢は、視交叉上核と呼ばれる脳内視床下部に存在する
神経核であることが知られています。
今回、国際共同研究グループは、
リズムレポーターマウスの脳における概日リズムを体系的に調べることにより、
脈絡叢が中枢時計よりも堅固な概日リズムを刻むことを発見しました。
また、組織培養系や遺伝子組換えマウスを用いた実験により、
脈絡叢時計は脳脊髄液の循環を介して中枢時計に作用し、
概日行動リズムを制御していることを明らかにしました。
本成果は、中枢時計である視交叉上核時計よりも堅固な生物時計が
脈絡叢に存在するという驚きの発見であるだけなく、
ギャップ結合を制御する薬剤などにより、
中枢時計を介して概日リズムを操作できる可能性を示しています。
今後、最近注目されている睡眠の意義との関連も注目されます。
今後は、脈絡叢の概日リズムにはギャップ結合を介した
カップリングが関与することから、
末梢組織、脈絡叢およびギャップ結合を制御する薬剤などにより
中枢時計を制御できる可能性が考えられます。
また、脈絡叢から視交叉上核への内因性シグナル分子の同定が期待できます。
本研究成果は「Nature Communications」に掲載されました。
参考文献:The choroid plexus is an important clock component