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 〜肥満は、脳の皮質体積の減少や神経ネットワークの低下と関連する〜

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肥満と認知機能障害の関連が大うつ病性障害で明らかに
 〜肥満は、脳の皮質体積の減少や神経ネットワークの低下と関連する〜

2017年12月

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、理事長:水澤英洋)の
神経研究所(所長:武田伸一)疾病研究第三部の功刀浩部長および秀瀬真輔医師らのグループは、
大うつ病性障害患者における体格指数(BMI, body mass index)が30以上の肥満が、
認知機能低下と脳構造変化に関連することを初めて明らかにしました。

大うつ病性障害は、一般に「うつ病」と称される病気の中で、
治療を要する典型的なものをいいます。
気分の落ち込みや興味・関心の低下といった諸症状に加えて、
記憶、学習、問題解決能力、巧緻運動(こうちうんどう)などの認知機能が低下します。
家庭や職場において発症前にはできていた活動ができなくなってしまう場合があり、
臨床的に重要な問題となることが少なくありません。
近年、肥満と大うつ病性障害には共通の病態が指摘されていますが、
肥満がうつ病患者に臨床上どのような影響を及ぼしているのかよくわかっていませんでした。

本研究では、うつ病患者の認知機能や脳の構造への肥満の関与について検討しました。
その結果、BMIが30以上の肥満は、大うつ病性障害患者における
作業記憶、実行機能、巧緻運動速度などの認知機能の低下と
関連していることがわかりました。

また、核磁気共鳴画像法(MRI)脳画像を用いた検討では、
BMIが30以上の肥満患者は、BMIが30未満の患者と比較して
脳の一部の皮質体積が有意に縮小しており、
神経ネットワーク(白質繊維の形成)の指標も低下していることが明らかになりました。

今回の研究成果から、肥満が脳に傷害を与え、
それによってうつ病の認知機能低下を悪化させていることが考えられます。
適切な食事や運動を心がけ、体重を適正にコントロールすることが
うつ病という心の病気においても重要であることが示唆される結果です。

これまでうつ病の治療は、薬物療法と精神療法が主体でしたが、
当研究の知見は、それら加えて栄養学的アプローチが
治療法の一つになりうることを示しています。

今後、肥満の治療、すなわち減量が、認知機能や脳の形態の改善につながるかについて
縦断的研究や介入研究を行っていく必要があります。

参考文献:   Association of obesity with cognitive function and brain structure in patients with major depressive disorder

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