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2016年7月
宮崎大学吉永尚紀講師と千葉大学清水栄司教授らの研究グループは、
抗うつ薬で改善しない社交不安症患者(患者の7-8割と想定される)に対して、
認知行動療法が有効(85.7%が改善、47.6%が寛解[症状ほぼ消失])であることを臨床試験により明らかにした。
社交不安症とは「人との交流場面で生じる著しい不安や恐怖」を主症状とする精神疾患で、
患者の多さと生活障害度の大きさを考えると非常に重要な疾患である。
抗うつ薬を用いた薬物療法は、社交不安症に対する標準的治療法として世界的に最も普及していたが、
抗うつ薬治療では十分な改善を示さない患者が多いことが課題として指摘されていた。
本研究は世界で初めて、抗うつ薬で改善しない社交不安症に対し、
認知行動療法を行うことの有効性をランダム化比較試験により示した。
対象患者42名は「通常治療群」と「通常治療に認知行動療法を併用する群」の2群に分けられ、
通常治療群 | 認知行動療法併用群 | |
改善 | 10% | 85.7% |
症状がほぼ消失(寛解) | 0% | 47.6% |
今後は国際的な社交不安症の治療ガイドラインの改定など、
世界の標準治療に貢献するなどの活用が大いに期待されている。
薬物療法に加え、
心理療法を併用することが患者の症状改善に大きな効果をもたらす可能性が示唆された研究であると考えられる。
抗うつ薬が効かない社交不安症(対人恐怖)を認知行動療法が改善